垂直飛行が出来たのは本当にF15だけ? 第1回 F15搭乗記本文 補足

 第1回のF15搭乗記本文で、脚注に、機首を真上に向けて飛ぶには推力が自分の重さに勝っている(推力重量比が1以上)必要があり、当時、世界の戦闘機でそれができるのはF15のみと書いた。確かにそう言われているが、F15より先に実戦配備された垂直離着陸機(VTOL機)のハリアーがあるではないか。VTOLであれば、当然、推力重量比>1ではないのか。どういう事なのだろう。思いつく可能性は3つ。

1)ハリアーは戦闘機でない
 最初のハリアー攻撃機であり、戦闘機ではなかった。戦闘機になったのは、イギリス海軍に配備された派生型のシーハリアーから。しかし、戦闘機と攻撃機の区別はあまり意味がない。便宜上、F(Fighterの略)が付くF15や湾岸戦争で活躍したF117などもみな攻撃機(Attacker)の能力を持っており、攻撃機として活用されている。
2)ハリアーは推力が自重に勝っていなくても垂直上昇できる
 翼を持った物体が地面に近づくと地面効果といって翼を浮かそうとする力が働く。これによって少ない力で上昇できる。だが、そうだとすると非常に低空でしか垂直上昇ができないことになってしまう。
3)ハリアーは水平の姿勢でしか垂直上昇できない
 F15のように機首を真上に向けた状態では垂直上昇できないのではないか。もし、そうだとすると、垂直離着陸時も何らかの形で翼の揚力を利用しているのだろう。

 だれか答えを知っている人がいたら教えてほしい。

(鍛治信太郎)